訪ねれば笑ってくれる母がいる
私が誰かわからなくても
いつものようにグループホームの母を訪ねた。
帰ろうとした時、「Y子、ありがとうね」と弟の長女の名前を言った。
間違える時は、いつも長女の名前だ。次女や三女の名前で呼ばれたことはない。
私が長女だということは残っている。それでいいと思って帰る。
今日は一緒に柏餅を食べた。
「おいしいね」「やっぱり柏餅はMのヨモギ餅だね」
たわいのない会話をしながら、無防備な状況を楽しむ。
母は、そうだね、大変だね、良かったね、辛いねと、私の気持ちをそのまま受けとめてくれる。訂正したり、批判することはない。ずっと昔からそうだった。
若い時は、そんな従順で、己を持たない(ように見える)母に、反感を持ったこともある。
でも今は、神経のすみずみまでゆるんでいくような時間を、かけがえのない大切なものだと思っている。
平成24年6月19日 古賀 八重子