2012年2月16日木曜日

看護支援相談室だより No.40

「ありのままを受け止めること」

立てず聞けず食へず話せず父の冬   正木ゆう子
花びらの顔にかかればうれしくて父はかがやく鼻水たらす  小島ゆかり

私もこの頃、認知症の母の歌を作り続けている。
グループホームに入ってから、会う度に変わっていく母は、私のことも分からなくなってきている。突然、「誰の嫁さんだったかね」と聞く。
私が来たことも、喜んでいるのか、わからない時がある。そんな母を見るのが辛くて、2週間、会いに行けなかった。
そんな時、正木ゆう子の俳句と、小島ゆかりの短歌を読んだ。
「詠むことで、その場面が肯定される」という作者の言葉に一つの救いを得た。
震災も介護も、ただただ詠むしかない。混沌は混沌のままに、詠み尽くす。
詠まなくてはと思ってではなく、湧いてくる思いを詠んでいくことで、救われるものがあると。

母の生きている証、今の母の喜びや哀しみ。
私は、表現者として、いや娘として、ありのままを見つめ、遺していこうと決めた。

この頃、気が付いた事がある。
母のことを、ずっと見守ってくれている入所者(男性)が居る。
排泄の失敗をして部屋に籠っていると聞いた時も、発熱した時も、「心細いと思って」と、心配して付いていてくれた。
部屋を閉めて話ししていると、のぞいて「だいじょうぶ?」と聞いてくれる。
このホームにも、母を大切に思ってくれている人が居る。
昔、子供心にも、母を想っているとわかる人が何人かいたことを、思い出した。
母は、守ってあげたくなる可愛い女性なのだ。

母のこと守ってくれる騎士がいてグループホームに二人寄り添ふ

平成24年2月16日   古賀 八重子