2011年10月28日金曜日

看護支援相談室便り No.29

「私、やっぱり看護が好き」

急性期病棟から療養病棟に移って4日たった新人の言葉だ。休職明けから、療養病棟に行くと決めた日、「技術ができなくなる」と心配していた。
 でも、療養病棟の患者さん達を見て、「この人達にも自分と同じ元気な時があったと思うと、言えない・動けない苦しみを、今の自分に置き換えて感じることができた。患者さんは言えない分、感受性の高い人たちだと思えた。自分がやられて嫌なこと、言われて嫌なことはしないようにしよう、そう思って、より丁寧に関わるようにした。すると、ツンツンしたり、反応が無かったり、いつも怒っている患者さんが、目で反応したり、うなずいてくれた、抵抗していたケアをやらせてくれるようになった。 人間って鏡だとつくづく思った」という。急性期病棟でも、もちろん患者さんの反応はあった。しかし、療養病棟で感じた達成感は、それとは比較にならない強烈なものだったと。

昨日は、「洗濯も入浴も食事するのもイヤ、生きている意味がわからない」と言っていた。

しかし、コミュニケーション能力の低下した人とコミュニケーションがとれた達成感は、看護の原点を思い出させてくれた。急性期病棟では、業務に追われ一杯一杯の毎日で、看護の喜びや、看護ってこうだと感じることがなかった。
「私のやりがいは、多分患者さんの反応だと思う」
「私、やっぱり看護が好きだとわかった」と伝えてくれた。

「人と比べないでいいよ、自分のペースで」と見守ってくれるチームの中で、少しずつ自分の言葉で看護が語れるようになった。

平成23年10月28日   古賀 八重子

2011年10月21日金曜日

看護支援相談室便り No.28

「良かった探し」

子供の頃に読んだ本に、両親もなく貧しい暮らしの少女が、寝る前、その日にあった(良かったこと)を思い出して、感謝して眠りにつくというお話があった。
自分の心が折れて、「いいことなど何もない」と思う時、思い出すことがある。
瀬戸内寂聴さんの講演を聴いた時、「嫌なことは忘れる、嬉しかったことは忘れないようにする」のが楽しく生きるコツだと言われた。
日記には、なるべく嬉しかったことを書くようにしている。

今月のある日、良かったことが一杯あった。
いつも初歩的なことで電話しているので、頼みにくかったKさんが、気持ちよくカルテを印刷してくれた。
就業規則を読めばわかるような有休や医療費のことを聞いたのに、すぐ調べて教えてくれたNさん、郵便を頼みに行ったら、すぐに、メール便で出しておきますと受け取ってくれたSさん、資材のSさんは、紛失した白衣を一緒に探してくれた、N看護師長は、仕事の電話の前に、「風邪はもういいんか」と気遣ってくれた。
看護部のSさんは、アンケート結果をグラフにすることを、快諾してくれた。
進学相談にきたMさんは、若い時の私のように、自分の人生を切り開いていくと言ってくれた、休職していた新人も、もう一度、新しい病棟で頑張ってみると言ってくれた。
若い時は、当たり前だとおもっていた日常の人間関係だ。
年を重ねるほどに、人の優しさがこころに沁みるようになった。

幸せな一日だった。

2011年10月11日火曜日

看護支援相談室便り No.27

「まだ仕事と人生、両立できないよ」

若い人は、時々面白い表現をする。その新鮮さに驚くことがある。
父親からの電話に、「そんなこと、わかっているけどできない」
「私は一生、今のままかもしれない」と言った後の言葉だった。
彼女が何で悩んでいるかは、個人情報だ。
ただ、私は、「今、辞めないでほしい」と言い続けている。
ずっと我慢して、いい子を演じてきた彼女が、少しずつ自由になって、わがままを言ったり、甘えたりできるようになっている。
もう少しで楽に生きられるようになると思う。
でも、ここ2ヶ月、私達は、同じことを言い合っていた。
私は、待つ苦しさに、少しイラついていた。
そんな時の彼女の言葉だった。
人生=仕事のように生きてきた私にとって、彼女の言葉は新鮮だった。
少しだけ、彼女の心の中が見えた気がした。
私と違う世界で、揺れているのだ。
霧深い山を登っていて、少し視界がひろがった時のような気分になった。
いや、本当は、彼女の気持ち、よくわからないけど、それでいいと思えた。

「みんなちがって、みんないい」のだと。

平成23年10月11日   古賀 八重子

2011年10月3日月曜日

看護支援相談室便り No.26

「可能性を信じきること」

病棟配属になって3ヶ月、新人たちは、精一杯頑張っている。
図書室にも良く来るし、夜勤明けでも支援室によって12時近くまで、勉強していく。
病棟ラウンドをしていても、動きが自然になっている。
だから、6ヶ月研修のために取った、看護師長・プリセプターによる新人評価を見て驚いた。

ほとんど2(あまりできなかった)をつけて来た看護師長さんがいた。しかし、その新人をプリセプターは、「前向きで、良く頑張っている、じきに戦力になってくれると思います。」と評価している。

「看護援助の根拠」「業務優先順位・時間配分」「記録」など、まだ不十分な項目が多いことは理解できる。しかし、「守秘義務」「学習意欲」「清潔な身だしなみ」「倫理」「協調性」「健康管理」など、合格点だと思う項目も多い。
もう一人前の戦力として、夜勤にも入っている新人たちは、「事故を起こさないか」「患者の異常を見落とさないか」恐怖心を抱えて仕事をしている。
「あれもできない、これもできない」を100回言われても、できるようにはならない。「大丈夫、いい看護師になれるよ」と信じて、指導し続けてくれる環境の中で、自己効力感を持ち成長できるのだと思う。

9月30日   古賀 八重子