つつじの花
つつじが咲く頃になると思い出す患者さんがいます。
大部屋から、楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
女性6人の外科病室である。何事かと思って入ると、Fさんのベッドの上に、紫色と白のつつじが3本置いてある。脳梗塞で口も不自由な男性患者Kさんが、外泊のお土産にFさんに持って来たという。家人は、自分の床頭台に飾るのかと思っていたら、病院についたらまっすぐFさんのところに来て、黙って差し出したという。
70歳の男の純情だと笑い合いながら、いつまでも異性を意識したいし、されたいと語る70代の女性たちの明るさ、花を贈られた女性と花を贈った男性を話のタネにしながら、それを冷やかすのではなく温かく包んでいるやさしさ。寝間着の襟元をかき合わすFさんの左胸に乳房はない。末期の乳がんの大手術に耐えて小康を保っているFさんの笑顔は初々しく美しかった。
4月21日 古賀 八重子